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2006年5月 3日 (水)

交通地獄

だいぶ遅れましたが、ブログの更新です。

前回のブログでも触れましたが、改めて坂上弘のCD
「交通地獄 そして卒業」の感想を書いてみます。

Sakauehiroshi





「交通地獄 そして卒業」坂上弘

一言で言えばいや〜凄いわこのアルバム。良い意味
でも悪い意味でも中々「キツい」作品です(笑)。

まずタイトル曲の「交通地獄」、ラップの元祖だと
言いながらも、これラップじゃありません(笑)。
坂上さんのライムには「メロディ」が付いてます。
はっきり言って「歌」です。
さらに、バックトラックはやたらスカスカ&チープ
な打ち込み8ビートで、ヒップホップのグルーヴ感
とはどこまでも無縁な代物。音楽的な「完成度」と
いう観点から見れば恐らく「最低」の部類に入るん
だろうと思う。
ただ、そんなショボショボなサウンドにこの84歳
(→この人プロフィールを見ると1921(大正10)
年生まれとの事だから、正確にはもう85歳になった
のかな?)のジイサマの声が乗っかった途端、えも
言われぬ強烈な「磁場」が出来上がっちゃうもんだ
からまあ不思議!
この「交通地獄」を聴いてて、管理人どこかで似た
ような音を聴いた事があるなーと思っていて、ふと
韓国のあるおやぢを一人思い出しました。
その名を「イ・パクサ(李博士)」と言います。

かれこれ10年程前になるけれど、突然のように沸き
起こり、世間レベルではあっという間に過ぎ去って
いった「ポンチャック」(注1)ブーム。それでも
イ・パクサの痕跡は、クレイジーケンバンドの音楽
や「元祖!でぶや」(笑)のジングル等で時折見る
事ができます。
管理人が今でもたまに聴きたくなるパクサのCDで
「李博士(イ・パクサ)のポンチャック大百科」と
いうアルバムがあるんだが、こいつが中々に面妖な
代物だったりします。

Epaksa





「李博士(イ・パクサ)のポンチャック大百科」

音楽/企画としては正直笑っちゃう程イージー。
「出来損ないのスカ・ビート」を思わせるチープな
裏打8ビートの打ち込みが延々と続く上に、小学校
のオルガンを思わせるこれまた実にチープな音色の
シンセが乗っかるという、露骨に金がかかってない
バックトラックで、その上そこで歌われるのは

「韓国民謡や日本のヒット曲のハングル語訳の
串団子メドレー」(延々40分近く続きます)

な訳だから、普通に考えれば「なめとんのかワレ」
という話になるんだけど、そんなある意味「レベル
の低い」音楽が、パクサのアクの強いハイトーンの
ボーカルで

Jowajowa_1

Purrruhyy_1

Assaar_1


等々の奇声・擬音・ボイパもどきを乱発しまくる
強烈&無茶苦茶な歌唱が乗っかった途端、口惜しい
(笑)ながら物凄く魅力的に聴こえてしまうのだ。

この「ポンチャック大百科」を聴いた時、管理人は
余りにデタラメなエネルギー過剰さに爆笑しつつ、
「今度日本と韓国で戦争やったら、これ勝てねえん
じゃねえか」などと、人によっては非国民めと罵倒
されそうな感想を抱いたりしたんだが、「交通地獄
そして卒業」を聴いて「日本にもイ・パクサに対抗
できる歌い手がやっと現れた」などと妙な安堵感を
勝手に覚えたりしています。坂上弘はもしかしたら
「ポンチャック(というよりイ・パクサ)に対する
日本の10年越しの回答」なのかって、そりゃ明らか
に考え過ぎですね(^^;)。

ただ、「ショボショボのバックトラックの上に強烈
なポジティヴィティーに裏打された(良い意味の)
マヌケ美を展開することで、聴き手を自分の音楽に
引きずり込む」という点でこの2人は共通するが、
勿論ボーカルのスタイルは大きく異なる(ある意味
真逆と言って良いでしょう)訳で、そこに坂上翁の
独自性の所以もあったりする。

まず御齢84歳の坂上翁(ただ、「交通地獄」の実際
の吹き込みは10年程前('95年頃)らしい。その頃
で74歳位という事になるか)にパクサのようなハイ
テンションなボーカルは勿論望みようがない訳で、
その歌声はどこまでもユルユル。緊張感のカケラも
ございません。
でも、そんな弛緩しまくった歌声で

「甲州街道をバイクで走っている所をトラックに
追突され瀕死の重傷を負い、入院〜長期療養生活
を余儀無くされた代償として保険金・慰謝料等で
ざっと3000万円の大金をゲット。しかしその金
をキャバレー遊びに注ぎ込んだ挙句、ホステスの
リンダちゃんに全部巻き上げられ無一文になる」

という壮絶な実話(注2)に基づいた歌詞を

「ばった〜ん、ばった〜ん」
「きゅ〜ぅ、きゅ〜ぅ」
「すってんころりん、すってんころりん」

などとマヌケな擬音を交えて朗々と歌い上げられて
しまうと、所ジョージの「ジャンボ宝くじ」のCM
よろしく「人生たいがいの事はカタが付くもんだ」
と妙に気分が前向きになってくる。一青窈が読売
新聞('06年3月26日朝刊。しかし坂上弘が全国紙
の記事になろうとは....)で「坂上さんの歌を聴くと
あしたも頑張れる気がします」と絶賛したのも正直
うなずける気がします。

今回は「交通地獄」について書きましたが(それに
しても思ったよりもえらい分量になっちまった)、
次回は引き続き坂上翁の「卒業」について書いて
みようと思います。

(注1)ポンチャック
「李博士(イ・パクサ)のポンチャック大百科」上
の注釈を一部引用すれば「韓国の大衆歌謡をメドレー
形式で歌い継ぐディスコ音楽」であり、かつ「簡易
なキーボード一台とマイクさえあれば演奏可能な、
世界で一番手っ取り早いテクノ・ミュージック」。
韓国では長距離トラック運転手の眠気覚ましとして
愛聴されているようです。また、イ・パクサは韓国
におけるポンチャックの代表的シンガーな訳ですが、
その音楽等についてはMorris.さんのHP「怒濤の
テクノポンチャッカーE-PAK-SAの館
」で非常に
詳しく紹介されています。
(注2)実話
「交通地獄」の歌詞は坂上さんの実体験に基づいた
内容ですが、100%実話という訳ではなく、時系列
的な脚色(坂上翁がホステスの「リンダちゃん」と
出会ったのは事故以前の昭和40年代前半の頃。その
頃坂上さんは奥様を癌で亡くされているそうです)
や保険金/慰謝料の金額の誇張(実際にもらった額
は1500万円〜2000万円程度のようです。それでも
立派な大金だけど....)といったデフォルメがされて
いる様子です。
坂上翁のこれまでの人生については、HP「ウルトラ
サイゾー都築響一の珍日本紳士録
」に自身のロング
インタビューが掲載されています。インタビューを
読んでいただければ分かるけど、実はこの人バンド
マンとしても実に波乱万丈かつコクの深い人生を
過ごされています。


2006年3月20日 (月)

おじいさんラッパーって....

ちょっと小ネタですが、ブログの更新です。

この前金曜、たまたまテレ朝の「笑いの金メダル」
を見てたんですが、そこで少しばかり「衝撃的」な
モノに遭遇いたしました(笑)。

笑金の1コーナー「投稿あなたもヒロシ」への投稿
記事で「おじいさんラッパー」なるモノが取り上げ
られていたのですが、流れて来た

「♪こぉ〜つぅ〜じ〜ごくぅ〜の(交通地獄の) 
 そ〜の名ぁ〜もたぁ〜かい〜(その名も高い)
 こぉ〜しゅ〜うか〜いど〜ぅを(甲州街道を)
 ば〜いくぅ〜にのって(バイクに乗って)」

という切迫感皆無なライムを聴いて、正直ぶったまげ
ました。

「うぉい! これって
 坂上弘じゃねえかΣ( ̄ロ ̄lll)」

坂上弘(さかうえひろし)、現在御齢84歳。

間違いなく現在本邦最高齢の「ラッパー」でしょう。
管理人が次のブログで取り上げてみようと思ってた
のが正にこの人でした(笑)。前回のブログで紹介
したおやぢデュオ「ペーソス」がそうですが、この
坂上弘も「日本一業の深いレーベル」P-VINE所属の
アーティスト(という言葉を使うと何か語弊がある
ような気もするけど^^;)です。はっきり言って
ペーソス以上、P-VINEレコード随一の「飛び道具」
でしょう(笑)。

自分もまだこの人のラップ「交通地獄」をP-VINEの
HP
で試聴しただけなんですが、かなりのインパクト
です。高齢者による歌謡曲と言えば、あの左朴全の
名曲「老人と子どものポルカ」(珍盤・奇盤・怪盤
界の金字塔の一つです(笑)。管理人のカラオケの
数少ないレパートリーの一つ^^;)があるけど、
多分こっちの方が衝撃度は一段上でしょう。P-VINE
のHP上では

伊集院光『オバ歌謡』も大絶賛!84年間の沈黙を
破って遂にデヴュー。
清志郎が「兄貴」と慕い、横山剣が「オソレ老い」
と恐れをなし、m-floが「ラップの原点!?」と
番組に呼んだ今世紀最長最強の84歳!

と紹介されていますが、管理人も音を聴いてみて
「さもありなん」というのが正直な感想です。
現在、「交通地獄そして卒業」のCDをタワレコに
取り寄せお願いしている所です。ブツが入り次第、
改めて感想を書いてみようと思っています。

2006年3月11日 (土)

おやぢいらんかぇ〜

皆様は「P-VINE」(ぴーゔぁいん)(注)という
名前のレコードレーベルを御存じでしょうか。
ブルース、ソウル、ファンク等といった黒人音楽の
クラシックや日本のロック黎明期の隠れた名盤等、
かなりマニアックな作品を掘り起こしてはリリース
してるこのレーベルからは、

人間の「業」や「情念」といったもの

が濃厚に詰まった「とんでもない」音盤がしばしば
飛びだします。あの「クレイジーケンバンド」や
「大西ユカリと新世界」を初めて世に知らしめた
のもこのP-VINEレーベルでしたし、「幻の名盤
解放歌集」
シリーズでは、一般的には「珍盤・奇盤
・怪盤」の類に該当するような、かなりトンデモな
昭和歌謡の数々(→梅宮辰夫兄ィの「ダイナマイト
ロック」や「シンボルロック」等といった凄まじい
(笑)一連の楽曲を自分はこの歌集で知りました)
を掘り起こしまくっていました。
そんなP-VINEから、「やってしもうた」感濃厚な
グループがまたまた出てしまいました(笑)。今回
は五十路を超えた中年おやぢデュオ「ペーソス」の
御紹介です。

Pathos





「おやぢいらんかぇ〜」/ペーソス

作品を紹介する前に、グループの概要について触れ
ておこうと思います。おやぢデュオと書きましたが
上の辛気くさ〜い(笑)ジャケット写真から分かる
ように、正確には「専属司会」を含めた3人組の
グループです。

(ボーカル/作詞)島本 慶:山口県出身 53歳
(ギター/作曲)岩田 次男:愛知県出身 52歳
(専属司会)スマイリー井原:東京都出身 40歳

このペーソスというグループ、以前にィ横山剣さん
が自身のラジオ番組の中で絶賛していたりで、名前
だけは聞き及んでいたけど、初めてきちんと聴いた
のは「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」でした。
忘れもしません(笑)、今年の「成人の日」の特別
企画でスタジオライブを披露してたんだが、新成人
の晴れの門出を祝う日にリストラ失業親父の歌など
を実に陰気臭くかつミもフタも無く歌い上げ、祝賀
モードを見事にブチ壊す演奏を、新年の祈祷御祓い
で川崎大師に向かう車中で、管理人は衝撃受けつつ
爆笑しながら聴いておりました。

ペーソスの音楽について、一言で言うと「ムード・
コーラスの変種・特殊版」という事になるのかな。
で、その特徴は「ミもフタも無い&暗く救いの無い
歌詞」に尽きるでしょう。
「ミもフタも無い歌詞表現」というのは、一部の
ムード・コーラス(島津ゆたかの「ホテル」とか、
ムード歌謡/ムード・コーラスの世界には、凡百の
ロックをはるかに凌ぐ凄まじい歌詞の曲が「潜伏」
してたりするんですね^^;)等を源流に、クレイジー
ケンバンドの「スポルトマティック」で一つの完成
形を見たというのが管理人の私見なんですが、さら
に私見を進めさせてもらうと、CKBのミもフタも
無い表現方法を

「中坊〜高校生の視点」から「下ネタ/下半身の
煩悩のベクトル」に掘り進めると「グループ魂」
になり、

「中高年オヤジの視点」から「悲哀、絶望感、
寂寥感のベクトル」に掘り進めると「ペーソス」
になる

と管理人は見ています。
ペーソスの歌詞表現の物凄さの一例として、CD
4曲目の「公園の風景」(ビバリー昼ズのライブ
でも演ってました)の一節を抜粋してみます。

スーツ姿はホレボレの イケてるオヤジかも
だけど本当はコスプレさ 立派なプータロー

さらに言うと、ペーソスの音楽・歌詞表現のもう
一つの特色が「淫靡さ」。同じスケベでもグル魂
の「幼児退行を思わせるノーテンキなスケベ」と
は真逆で、この人達のスケベさは陰湿で閉鎖的な
匂いがするんですね。
例えば、CDの6曲目「わたしズルイんです」。
小津安二郎の名作映画「東京物語」での原節子を
モチーフにした(→原節子をモチーフに使ってる
時点で現代の価値観とかなりズレてる気がします
が....)と言いつつ、出来上がった歌詞の中身は

夫がある身の女が若いイケメン坊やと浮気して、
まぐわい感じちゃって声まで上げちゃった挙句、
夫にその姿を見せて3Pに巻き込もうか懊悩する

というトンデモない代物。こうした陰湿かつ倒錯
したスケベさは、「舐達磨親方(→「なめだるま
おやかた」と読みます。しかし何とも素晴らしく
最低なネーミングセンスです^^;)」のペンネーム
で、20年以上もの間風俗ライター界の第一人者と
して活動し続けた(→それとも現在も活動中?)
島本氏だから書ける世界と言って良いでしょう。

今回のブログはこれでお開き。ペーソスの音楽は
万人にお勧めするには少し特殊すぎる(笑)気も
しますので、興味を持たれた方にはこちらのHP
試聴してみると良いのではと思います。

(注)「P-VINE」(ぴーゔぁいん)
P-VINEとは、正確には(株)ブルース・インター
アクションズ
という出版社が運営するレコード・
レーベルの一つです。大雑把に言うとブルース〜
が取り扱う音源で、マニア向けの作品はP-VINE
から、そしてCKBと「大西ユカリと新世界」関連
の作品(=メジャーなレコード会社からの配給が
可能な「ある程度売り上げが見込める」作品)は
もう一つのレーベルである「サブスタンス」から
発売するという方法を取っているようです。

2006年2月19日 (日)

繰り返される諸行無常

滋賀の園児殺害、大変な騒ぎになってますね。金曜
仕事有休もらい家にいたところラジオのニュースで
聞いて、「何だそりゃ?何でそーなる?」と驚いた
もんだけど、容疑者が中国籍かつ精神科への通院歴
があったという点が、今後の報道でどう扱われるか
が正直気掛かりだったりもします。これ、どっちも
マイノリティへの絶好の攻撃材料になり得る要素だ
からなぁ....。
精神科の通院歴という点については、宅間守の事件
が精神科医療の世界にいかに暗い影を落としたかが
「ブラックジャックによろしく」で詳細に描かれて
いるし、中国籍という点については、ここしばらく
日中関係がギスギスして国民感情も良くない(自分
も「アジアカップ」の時の中国の糞馬鹿サポーター
共に心底ムカついたクチだったりしますが....)中で
マスコミが煽情的に書き立てたり(特にフジ・産経
に近い辺りは怪しいな....)して、差別・排斥を変に
煽るような風潮が起きないか不安を感じてます。

大分遅くなりましたが、久々の更新です。
しばらくグループ魂の話題が続いたこのブログです
が、今回の取り上げるのも、グル魂と離れたようで
地続きの、「向井徳次郎のサイドビジネス」(なべ
あつし(a.k.a 阿部サダヲ)談)もとい向井秀徳の
メインバンド「ZAZEN BOYS」です。

Zazenboys_1



「ZAZEN BOYS Ⅲ」

グル魂の「Run 魂 Run」で初めてナンバーガール
と向井秀徳を知って、向井氏がナンバガを解散して
「ZAZEN BOYS」なるバンドを新たに始めたという
事も音楽誌の記事等で知ってはいたけれど、管理人
しばらく彼等の作品を聴いてませんでした。何故か
と言えば、彼等の枕詞(それとも目標という事なの
かな)として雑誌等に紹介されてた

「法被を着たレッド・ツェッペリン」

というフレーズに、正直ウサン臭さと若干の反発を
覚えたからなんですね。
言うに事欠きツェッペリンとは何事か。ボンゾ(注)
亡き今となっては、当事者たるロバート・プラント
とジミー・ペイジでさえも再現不能なツェッペリン
のサウンドの巨大さ・重み、それをきちんと弁えた
上でこいつらZEPの一言を使ってるのかなと。それ
が管理人の最初の印象でした。

で、グル魂の「TMC」からの流れから今回初めて
彼等の新作を聴いてみたけど、感想を向井徳次郎風
に言えば

「え〜らい もぅ えぇ〜らい ビックリしてから....」

という事になります(笑)。慌ててもぅ北九楽器に
走りそうになっちゃったアハハ(→元ネタについて
は「TMC」を聴いてくだせえ)。もっと早くに聴く
べきだったと反省してます。
日本はおろか、世界的にもここまでツェッペリンの
サウンドに肉迫してみせたバンドはそう滅多にお目
にかかれないのでは?特に新しく加入したドラムの
松下敦、この人のドラムスが素晴らしいです!
管理人の考えでは、ツェッペリン・サウンドの肝は
「ボンゾの人間離れしたパワフルなドラミング及び
プロデューサーのジミー・ペイジによる(若い頃の
セッション活動で培った)録音マジック」にあると
思ってるけど、「ZAZEN BOYS Ⅲ」で聴けるドラム
の音は、そのパワフルなサウンドといい絶妙な残響
感といいZEPのそれに物凄く近い。向井秀徳はこれ
だけの素晴らしいドラム・サウンドを一体どのよう
に録音してみせたんだろう?

さらに「ZAZEN BOYS Ⅲ」を聴いて印象的なのは、
単なるツェッペリンの物真似に留まらず、ニュー・
ウェーブも含めて様々なロックのイディオムを咀嚼
し巧みに取り入れている事。例えばM1の「SUGAR
MAN」やM5の「Pink Heart」に顕著なフリーキー
&フリー・フォームな曲展開(でありつつメンバー
各自の呼吸がバッチリ合っている点が本当に凄い所
ですが)は、キャプテン・ビーフハートやフランク
・ザッパあたりの音を学習し血肉化した跡が伺える
し、ボンゾを彷佛とさせる極太ドラム・サウンドの
上に'80年代キング・クリムゾンばりのシャープな
ギター・アンサンブルが乗っかるM9「Don't Beat」
などは、オールド・ウェーブとニュー・ウェーブと
それぞれの遺産とその美点を、客観的に評価できる
ようになった現在だからこそ作れる曲ではと思う。
そして圧巻なのはアルバム中盤のM6「RIFF MAN」
からM7「This is NORANEKO」の流れでしょう。
どちらも全盛期(アルバムで言えば「聖なる館」
から「プレゼンス」まで)のツェッペリンに迫らん
とする、強靱なギター・リフとヘヴィなグルーヴの
応酬です。特に「This is NORANEKO」のヘヴィな
リフに乗せて

「真っ白けっけの雪の上
 生まれて死んで繰りかえし」

という儚さ・無常感(まさしく「繰り返される諸行
無常」!)溢れるフレーズが歌われた瞬間、背中に
流れた不思議な感覚....。

何だか書いているうちに管理人にも収拾が付かなく
なってきたようですね(笑)。今回の話はひとまず
この辺で。まずはこの時点で「自分にとっての'06
年のベストCD」が9割方決まったと言っときます。

(注)ボンゾ
多くの洋楽ファンには説明不要ですが、レッド・
ツェッペリンのドラムスだったジョン・ボーナム
(John Bonham)の愛称。ソウル/R&Bという
米黒人音楽の影響を、並外れた体力と26インチの
バス・ドラムを中心とした大口径ドラム・セット
により表現する事で、ツェッペリンのサウンドに
強烈なドライブを与えていた人物です、と言うか
この人の場合は、人物というよりやはり「怪物」
と表現する方が適当かも。
山下達郎の名言に「ポピュラー音楽の世界では、
リード楽器とはドラムスの事であり、ボーカルも
ギターもその他の楽器は全てドラムスの伴奏にしか
過ぎない」という言葉があるんだが、ZEPの一連
の作品を聴いてもらえれば、この言葉の意味が割
とすんなり理解できるんじゃないかな。

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